無数のそれは、まるで生き物のように・・・
2005年03月12日
おびただしい数の細長い円錐状のモノが、ぐるぐると回り、回りながら複雑に動きを変え、何かいわくいいがたい生き物のような相貌を帯びて、ちょっと普通の表情では見ていられませんでした。
撮影:2005.03.11。幡豆町・木下製網さんにて。
文章ではとても伝えにくいのですが、1枚目の写真で、大きな円の中心部に、長い円錐のとがった側が集まっており、ここから糸が出て、円錐の動きによって筒状の網が編まれていくのです。2枚目の写真で分かるように、こういう機械がたくさん置かれています(木下製網さんは約50基)。3枚目の写真は、チリからの研修生が糸巻き(ボビン)をセットしている様子。
主力製品はアジなんかを一網打尽にする旋網漁(まきあみりょう)の網。一枚の網は2,000×200mの大きさが標準的で、これを一度に新調すると1億円内外するそうですが、多くはメンテナンス用の受注だとのこと。漁網というのは、漁場と魚種によって信じられないほど多様に差異化されざるをえず、しかもいまだに漁師=個人の好みに大きく依存するといいます。営業も、個人の契約を地道に拡大するしか途がない。その漁師から、たとえば、次はポリエステルのこういう太さの糸で、200×200mくらいが必要になりそうだと、遠洋から無線で連絡が入れば、帰港する2〜3日の間にその網を届けなければならないが、やっぱり要らなかったと言われればいつ売れるか分からない在庫品になってしまう。トヨタのようなムダ取りのセンスからは想像もできないような、「前近代的な」ムダだらけの世界なのだと副社長さんは教えて下さいました。それでも、あるいはだからこそ、この異様な機械がなければ生き残れないのです。面白い。
この機械、世界的にみると非常に特殊なもので、右の english knot (日本では蟇股という)に代表される伝統的な網に対し、左のように結び目のない網の製造を機械化したものです。この knotless netting(無結節)の場合、有結節に比べ、値は張りますが、はるかに重量が軽いため扱いやすく、船の燃費も稼げるだけでなく、糸の屈曲が少ないため摩擦による切断がおこりにくく、そして何よりも水抵抗が少ないため網の沈降が速く、漁の確度と効率を飛躍的に向上させることができるといいます。

